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駐車場経営の「失敗する理由」とその対策。メリット・デメリットを知って安心の駐車場経営。

2020年08月26日

駐車場経営において良く聞かれる失敗パターンと、その理由についてご紹介します。失敗の多くは事前の準備不足やシミュレーション不足によるもので、経営を始める前の準備が大切です。駐車場経営のメリット・デメリットを踏まえつつ、リスク回避のための方策、信頼できる運営業者選びのポイントについても解説します。 

 

駐車場経営なぜ失敗する

駐車場経営は必要な初期投資が少なく、手軽にはじめられる点が魅力の土地活用です金融機関で多額のローンを組むのに抵抗がある方にもおすすめできます。しかし、簡単にスタートできるからといって、経営も簡単とは限りません。思ってもみなかった問題が多く発生して収益が上がらず、結局失敗したという体験談も少なくないのが駐車場経営です 

しかし、駐車場経営で発生するトラブルの多くは事前のリサーチや準備で回避、ないし問題を最小限に抑えることができるものです。 

確実に収益を上げるためにも、駐車場経営の失敗理由を検証しつつメリット・デメリットを踏まえておきましょう。

 

月極駐車場にするかコインパーキングにするか 

駐車場を経営する上で、まず、最初に決めなければならないのは、駐車場の方式を月極駐車場にするか、コインパーキングにするかということです。 

・月極駐車場 

駐車場利用者と契約を結、賃料を受け取る方式です土地に何台分のスペースがあるかによって最大収益額が決まります。機械の設置などが不要で、アスファルトでの舗装も必須ではなく、非常に簡単に始められる点が魅力です。また、利用者との契約が終了すれば土地をそのまま別の用途に使うことが可能です。 

自動車23停められる程度の使わない小さな土地を持っている方や、最小限の手間暇や初期費用で土地活用を始めたい方、土地を将来的には別の用途で使いたい方などにも適しています。 

月極駐車場は、多くの場合、地域の不動産会社で利用者募集や管理を委託します

コインパーキング 

コインパーキングは、時間単位で駐車場を利用した人がその場で料金を支払うもので、駐車場利用者が多いほど儲かる仕組みとなっています。月極駐車場は何台停められるかで収益額の上限が決まってしまいますが、コインパーキングは車の出入りが多いほど収入が増え、一般的には月極駐車場より多くの収益が見込めます。 

ただし、コインパーキングは土地のアスファルト舗装、及び機械の設置が必要となります。そのため、通常はコインパーキング専門の業者に依頼して設置します。

 

駐車場経営の3つの方式とメリット・デメリット 

駐車場経営の方式としては大きく分けて3種類があります。


1)一括借り上げ(サブリース)方式…駐車場運営会社に土地を借り上げてもらい、駐車場経営は会社が行い、オーナーに固定の賃料を支払う方式 

2)委託方式…オーナーが土地の整備やパーキング用の機械の設置などを行い、管理運営を管理会社に委託する方式 

3)自営方式…土地整備や機械の設置、管理運営などを全て自分で行う方式 


このうち、1)のサブリース方式がもっとも収益率が低くなる半面、毎月一定の賃料が振り込まれるというメリットがあります。(3)の自営方式は、収益率は高くなりますが、土地の見回りや管理を全て自分で行わなくてはなりません。月極駐車場であれば比較的自営でも運営しやすいですが、コインパーキングであれば、(1)か(2)の方式で始めるのが無難でしょう 

 

駐車場経営に失敗する理由(1駐車場に向いていない土地なのに経営を始めてしまった 

駐車場経営の魅力である「初期費用がかからない」「別の土地利用もしやすい」といった点に注目するあまり本当にその土地に適した土地活用方法なのか事前に丁寧にリサーチ検討せずに駐車場を始めてしまうと、想定通りに利用者が集まらずに失敗することがあります。また、駐車場の運営会社から「小さな土地でも安く簡単に始められる」と薦められ、契約に応じ、集客がうまくいかなかったという体験談も聞かれます。 

自家用車を使わずにバスや公共交通機関を利用する人が多い土地や、地形上、周辺の道路が狭く利用しにくい土地などは、駐車場として需要が見込みにくいパターンです。 

また、月極駐車場に向いている土地とコインパーキングに向いている土地があります。一般的には、月極駐車場は周辺が住宅地などで一定期間の契約が見込めるケースに向き、コインパーキングは近くに駅がなく、大きな商業施設や繁華街の近くなどで、一時的に車を止めたい人が多い土地に向いています。 

 

もっとも、こうした事例に当てはまらずとも、地域特性によっては駐車場の経営が成り立つこともあるので、周辺の土地にある駐車場の数や種類、利用状況などを調査して総合的に判断することが大切です。 

近年はインターネットで簡単に周辺の詳細な地図や駐車場の数、様子を検索することができます。もちろん、こうしたツールは多いに活用したほうがよいのですですが、できればドライバーの気持ちになって、実際に近隣に足を運んでみることをお勧めします。利用者目線の駐車場経営につながるでしょう。 

その土地が駐車場に適しているかどうかは、素人だけで判断することが難しいケースもあるので、土地活用のプロに相談することおすすめします。 

動かすことのできない土地の活用に成功するためには「この土地はこう活用したい」と活用法に土地を合わせるのではなく、「この土地にはこの活用法が向いているのではないか」と、その土地の個性った活用方法を選ぶことが大切です。 

また、土地活用を事業としてとらえ、事前にきちんとした調査を行って十分な収益性が見込めるか判断する姿勢も重要です。 

 

駐車場経営に失敗する理由(2簡単だから自分で全部できると思った 

「空き地を駐車場として人に貸すだけだから、簡単なので自分でできると思い、自営で始めてみたところ思いのほか経営能力や管理能力が必要で行き詰ってしまったというパターンです。 

・月極駐車場の場合 

月極駐車場は自営でも始めやすい形式ですが、代表的なトラブルとしては、利用者が賃料を払ってくれないケースがあります。対策として、事前に口座引き落としができるようにしておくとこうした事態を回避できます。また、料金を払わず不正に駐車場を利用しようとするドライバーへの対応や、車上荒らしの発生などもありがちな問題です。 

管理や掃除、利用者間で発生したトラブルについても自分で解決しなくてはなりません。月極駐車場は比較的メンテナンスの手間が少ないものの不法投棄の発生や、自然災害の後などではがれきなどが散乱しているケースがあり、定期的な見回りが欠かせません。 

駐車場から家が近く、こうした管理業務にやりがいを感じる人にはおすすめですが、本業の片手間に簡単にできると思っていると失敗するケースがあります。 

・コインパーキングの場合 

自営でコインパーキングを始めるためには、最初に土地の整備や機械の設置が必要になります。 


・アスファルトの塗装 

・精算機、ロック板等の設置 

・看板や照明の取り付け 

・道路の切り下げ 


これらを全て自分でやると、一般的なコインパーキングで300万円ほどかかると言われています。アパートやマンション経営よりははるかに初期費用が少ないですが、それでも少なくはない額です。この点、コインパーキングの業者に頼むと、工事費や設備費などの初期費用のほとんどを業者が負担してくれるケースが一般的です。 

また、自営ですと電気代は自分の負担となり、自然災害などに備えた保険加入も必要になります。お釣りの小銭の用意や、駐車場の土地や機械のメンテナンス、トラブルへの対応も自分でやらなくてはなりません。月極駐車場は利用者が決まっているため、個人的に知っている信頼関係のある人のみ利用者とすることも可能ですが、不特定多数の利用者を集めるコインパーキングはそれだけ予期せぬ問題も増加します。 

 

【失敗しないために】 

基本的には、駐車場経営は業者に依頼して任せてしまうのが楽である上に、サービスの質も向上して利用者の満足度も高まり、安定した収入を得られるのでおすすめです。実際、収益率の高いコインパーキングの場合、ほとんどのオーナーが専門業者に依頼すると言われています。 

その理由は、初期費用がかからないことに加えて、維持費もほんとんどかからないこと、利用状況にばらつきがあっても毎月安定した賃料が振り込まれること、面倒なメンテナンスやトラブルは全て業者にお任せできることなどがあります。利用者の側としても、駐車場利用にあたって何かトラブルがあれば、業者のコールセンターに電話すればすぐに対応してくれますから、安心感があります。 

経営や管理に興味がある人、将来的に事業を拡大したい人には自営もメリットがありますが、土地活用と収入の確保が主たる目的の方には業者を利用するのがおすすめです。 

 

駐車場経営に失敗する理由(3業者選びを間違えた 

駐車場経営を業者に任せる場合、大切なのは、評判信頼のおける業者を慎重に選ぶことです。駐車場は無人経営とはいっても、適切な料金設定やわかりやすい看板など、業者の手腕やサービスによって収益に差が出てくることもあります。また、業者に経営を任せきりにした結果、ずさんな管理により利用者が離れ、駐車場経営が立ち行かなくなるケースもあります。複数の会社に相談して、担当者とよくコミュニケーションをとり、納得のいく業者を選びましょう。 

業者を選ぶ基準の一つとしては、トラブルへの対応力があります。万一の際のトラブル対応はオーナーだけではなく利用者にとっても重要な要素です。また、掃除やメンテナンスと違い、トラブル対応は思考の柔軟さや解決能力の高さが試されます。車上荒らしや利用者間のトラブルなどが生じた場合、どのように対応しているのか、過去の事例や会社で行っている取り組みなども詳しく聞いてみましょう。 

また、都合の良いことやメリットばかりを強調する業者よりも、メリットとデメリット、駐車場経営について考えられるリスクについてもきちんと説明があり、その上で、オーナーの疑問や質問に丁寧に回答してくれる業者の方が、よりコミュニケーション能力が高いため、安心です。 

 

駐車場経営に失敗する理由(4思ったより税金がかかってしまった 

ありがちなのが、それまで土地の上にあった家を取り壊して駐車場を始めた場合で、土地の固定資産税が急に高くなってしまい、駐車場経営が立ちいかなくなるケースす。 

自宅やアパートなどの住宅用建物の敷地は、小規模宅地の減額特例が適用され、最大で固定資産税が6分の1になりますが、駐車場経営する場合、税金の減免はありません。あらかじめそのことを頭に入れた上で建物を取り壊し、駐車場経営をスタートさせたとしても、実際に経営してみると、税金の負担が想像以上に重たく感じることがあります。 

税金の負担を回避するテクニックとしては、住宅やアパートなどの居住用建物の敷地の一部を駐車場とするという手段があります。土地の5以上が居住用であれば、住宅用地とみなされ、最大6分の1の節税が実現します。土地の性質上、こうした活用が可能であれば、検討をお勧めします。 

 

駐車場経営に失敗する理由(5事情の変化により収益が低下してしまった

駐車場経営には、例えば近くの商業施設が撤退してしまったといった環境の変化、景気の落ち込みといった経済の変化、近くに利用しやすい新規の駐車場ができたといった競合関係の変化などにより、当初の想定よりも稼働率が下がることがあります。 

経営をスタートさせる際に、あらかじめ満車稼働の状態だけを想定しておくのではなく、80%程度稼働するケースや、60%程度に落ち込んでしまった場合のケースなども想定し、収益率や持ち出しの必要性などをシミレーションしておくとよいでしょう。 

こうした事情の変化による収益の低下を防ぐ手段としては、サブリース(一括借り上げ)方式での駐車場経営を行うことも一つの方法です。駐車場経営のサブリースは、アパート経営に比べて、オーナー側のデメリットが少ないのが魅力です。契約の解除によるペナルティや、アパート経営のサブリースにありがちな建物の経年劣化による賃料の減額もないのが一般的です。収益率こそ落ちるものの空車稼働などのリスクを気にすることなく安定的に賃料収入を得られます。

 

■安定した駐車場経営のために 

駐車場経営で失敗しないためには、事前の十分なリサーチと、様々なリスクや税金を踏まえたうえでのシミレーション、そして信頼できる業者選びが重要になります。焦らずにじっくり構え、安定した経営のための準備を進めましょう。 

 

監修者 : 不動産コンサルタント 井筒  

高校卒業後、大手不動産企業で賃貸営業、主任、店長を経て、独立し2014年に北海道札幌市にてASTAGE株式会社を設立。代表取締役就任。現在は札幌市を中心に買取再販、管理、売買仲介、新築企画等を主に仕事をしています!